内容説明
人間に生きる根拠を与える、もうひとつのこの世、とは何か。石牟礼文学の豊かさときわだつ特異性はどこから来るのか。半世紀におよぶ交流から生まれた石牟礼道子論を集成。
目次
1(『苦海浄土』の世界;石牟礼道子の時空;石牟礼道子の自己形成;石牟礼道子小伝;「思想家」石牟礼道子;新たな石牟礼道子像を;生命の痛々しい感覚と言葉)
2(『苦海浄土・第二部』の真価;『西南役伝説』と民話的語り;帰れない者たちの逆さ図;水俣という文学風土;詞章『不知火』の誕生;海へ還った『不知火』;『天湖』の構造)
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年、京都市生まれ。日本近代史家。主な著書『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)、など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
39
2013.07.07(読んだわけではありません、2013.07.07日経新聞読書欄から) (石牟礼道子作品への道案内) 水俣病に苦しむ患者と家族の姿、『苦海浄土』石牟礼道子。 石牟礼氏の書いた原稿、ほぼすべて清書するなど、「秘書役」を果たしてきた日本近代史家、渡辺京二氏。 石牟礼氏は、日本19世紀以降の日本文学を代表する作家として改めて注目されており、本書は、彼女の作品に足を踏み入れようとする人に、格好のみちゃんない。 2013/07/07
kiho
5
石牟礼道子という作家の背景を伝えてくれる一冊☆水俣病をどのように見つめ、患者の方とどのように向き合って作品を著したのか…知りえなかったエピソードに触れ、あらためて石牟礼さんの感じとる心の崇高さがわかった。2013/11/24
N
2
『苦海浄土』は水俣病を扱ったルポルタージュとして読まれる傾向があり、実際自分もそのように読んでしまったのだが、本書を読んで、あれは紛れもなく文学作品であることを知った。石牟礼道子が描くのは前近代の世界が近代と遭遇する事によって生じる魂の流浪なのだと、著者は語る。現在と過去が混淆し、この世と平行しつつこの世の存在を支える「もうひとつのこの世」を描く石牟礼道子の小説は日本の文学史の中で極めて重要なものであることを知ることができた。また、同じ著者の『逝きし世の面影』とも通じるところがあると感じた。2017/07/27
健康平和研究所
0
石牟礼道子の世界を解説2016/04/27
猫田
0
★★★★石牟礼道子さんの作品に対する評論をまとめた本。評論そのものより、渡辺京二さんが20年以上石牟礼さんの晩ごはんを作っていたという話から、石牟礼さんのすごさに感じ入った。すごい人に晩ごはんをつくらせてしまう石牟礼さんてすごい、みたいな感じで(笑)2016/03/12